歴史を塗り替える: 日本南極観測隊初の女性隊長、原田尚美教授の挑戦
南極観測隊に初の女性隊長が誕生！東大教授の原田尚美さんが挑む極地の研究
皆さん、こんにちは。今日は南極観測の世界から、歴史的なニュースをお届けします。来年の秋、南極へと旅立つ第66次南極地域観測隊の隊長に、なんと初めて女性が任命されました。その女性隊長とは、東京大学大気海洋研究所国際・地域連携研究センターの教授、原田尚美さんです。
原田さんは1967年に北海道で生まれ、弘前大学、名古屋大学を経て、海洋研究開発機構での勤務を経て、2022年に東京大学に着任しました。専門は生物地球化学と古海洋学で、海洋の低次生物の生態系や、海底堆積物から過去の気候変動を読み解く研究に従事しています。
今回で南極へは3度目の参加となる原田さんですが、初めての参加は1991年、第33次隊の夏隊員としてでした。当時はまだ女性隊員が珍しく、女性用の浴場もなく、物理的な力仕事が多い観測活動には同僚の協力が不可欠でした。しかし、そんな困難も楽しく克服し、その後も南極との縁を深めてきました。2017年には第60次隊の副隊長兼夏隊長を務め、隊のマネジメントや調整にあたりました。そして今回、第66次隊の隊長として、観測隊の最高責任者を務めることになるのです。
日本の南極観測は1957年に始まり、今年で66年目を迎えます。日本は昭和基地を始めとする東南極に基地を設立し、その他にもあすか基地やドームふじ基地を建設。この地域で60年以上にわたって続けられている観測活動は、地球の気候変動や生態系の変化を捉えるための非常に貴重なデータを提供しています。原田さんは、これまでに蓄積されたデータセットの価値を高く評価し、それを活用することで地球環境研究に貢献していきたいと語っています。
しかし、観測隊長としての仕事は研究だけにとどまりません。隊員の安全と健康の確保、観測計画の遂行、物資の輸送、さらには船やヘリコプターの運用に至るまで、幅広い業務を管理しなければなりません。そして、新型コロナウイルスの流行による影響で、隊員の選抜や訓練、感染症対策もより一層の注意が必要となっています。原田さんは、南極観測の伝統を尊重しながらも、チームワークを育て、個々の強みを生かすリーダーシップを発揮していきたいと考えています。また、女性としての視点と経験を活かし、チームのコミュニケーションと福祉の向上に努める意向です。
原田さんが南極観測に魅せられたのは、高校時代に地球温暖化についての記事を読んでから。その興味は大学時代を通じて深まり、海洋研究の魅力的な世界に彼女を導きました。今回は隊長としてのマネジメントが主な役割となりますが、南極での現地調査の機会も見つけたいと願っています。例えば、北極で見つかった特有の植物プランクトン種と似た南極のサンプルを収集することなどです。
初の女性隊長という重責を担う原田さんは、自身と先輩や同僚からの期待に応えるプレッシャーを感じていますが、チームと信頼関係を築くことでその能力を示す決意を固めています。
南極観測に参加することが人生を変えたと振り返る原田さん。今、第66次隊の隊長として南極研究の歴史に新たな一章を加える準備をしています。彼女の旅とこれからの達成は、多くの人々にとってのインスピレーションであり、彼女の道を追うすべての人々からの支持と期待に値するものです。
